のりさんの研究室

上越教育大学 榊原範久のブログです。

小学校の新しい教科書

令和2年度から、新しい学習指導要領の全面実施に伴い、小学校では新しい教科書が使用されています。

昨年度と本年度の新旧小学校社会科教科書を3社分揃えて、その変化を院生ゼミの時間に検証していきました。

 

「つまらなさそー」という声が聞こえてきそうですが、全員社会科なので、多分、大丈夫。

 

f:id:sakakibarano:20200614212522j:plain

新旧の小学校社会科教科書


教科書会社で度合いは異なりますが、今回の改定で学習指導要領を具現化すべく大きな変化を見せた教科書もあります。一方で保守的で、変化の少ないものもあります。

 

今回の狙いとしては、学習指導要領の改定に合わせて、実際に教科書がどのように変化したのか。そして、その教科書を用いて行う授業デザインはどう変化していくべきなのかを院生達に実感を持って考えて欲しいというのがあります。


検討するための視点として以下の3点を挙げました。
①マクロな視点(コンセプトや様式)の変化
②ミクロな視点(単元や一つの社会的事象の扱い)の変化
③学習指導要領の文脈との関連


今日はゼミは対面とオンラインのハイブリッド式なので、アナログのホワイトボードが使えません。また、近距離で対話が発生することは避けなければならないので、Google jamboardを使用しました。

 

Google jamboardについて 引用:Googleの関連サイト)

edu.google.com

 

オンラインで講義やゼミをするようになってから、zoomなどのビデオ会議ツールと併用して、Google jamboardにお世話になるようになりました。

主な使用法としてはは、同期したメンバーで自分の意見を付箋形式で貼っていき、それを共有します。今回は、ホワイトボードの背景に①〜③の視点を表にしたものを用いています。その上に付箋を貼っていきます。思考ツールなどの上に付箋を貼っていくイメージです。

付箋の色は、あらかじめ決めてもいいし、参加者に任せてもいいです。

付箋の色の指定を任せると個性が出ます。今回は各グループで付箋の色の意味は任せて行っています。

 

下のboardは3人で作成したものです。作成後、ワールドカフェ形式で共有しました。

f:id:sakakibarano:20200614212558j:plain

ゼミ生がまとめたGoogle jamboard

(内容を伝えたいところですが、氏名が掲載されているためぼかしています)


たくさんの変化が見つかりました。
大切なのは、その変化の指す意味です。なぜそのような変化があり、何ができるようになることを求めているのか。
比べてみるといろんなことが見えてきます。


一部ですが、変化した点です(変化の大きな教科書について)
・探究的な学習問題の提示
・社会科の見方・考え方を重視した内容
・一問一答から、答えのない問いへ
・登場人物を主語にした記述の増加
・拡大された図表
・資料の読み取り方の特集ページ
・UDフォントへの変化

・子ども達が話し合いをしている写真多い
・余白スペースの増加
QRコードの利用
・6年生で公民分野の移動と増量
・用語など習得する知識量は微増
・どのように学ぶか、学び方の特集ページ
・思考ツールの活用

 

新しい学習指導要領の内容がどのように具現化されているかを実感する時間となりました。

 

新旧の学習指導要領を比較するより、新旧教科書を比較する方が、具体的な授業イメージが湧きやすいですね。