のりさんの研究室

上越教育大学 榊原範久のブログです。

日本教育工学会2024春季全国大会

JSET2024年春季全国大会に参加し、発表をしてきました。


大会ではお会いしたかった研究者の皆様と話したり、発表を聞いたりして大きな刺激をいただきました。また、来年度からの共同研究の話もできました。


そして、ゼミ生たちとの共同研究を発表できたことが何よりの収穫でした。また、今年度合同ゼミを継続している信州大学の佐藤研と榊原研のゼミ生らが、お互いのスケジュールを調べて発表を聞き合う姿がありました。ゼミ生たちはチャットに振り返りや写真を送り合っていました。大学を越えて、外の学会の場でも研究交流を続けていけるって、ほんといいなと思いました。

日本教育工学会は大きな学会です。あの規模の学会の全国大会を運営するのは本当に大変だと思います。その分、私たちは大きな学びをいただけるわけですが。学会運営にご尽力いただいた皆様に感謝いたします。

 

【関連発表題目】

○加藤咲希,榊原範久:情報活用能力の育成を目指したインフォグラフィックスによるレポート作成の事例的研究,  日本教育工学会2024年春季全国大会講演論文集, pp.119-120.
○太田小雪,榊原範久:ビデオアノテーションシステムを用いた学習者の相互評価に関する研究, 日本教育工学会2024年春季全国大会講演論文集, pp.215-216.
○北村優介,榊原範久:批判的思考態度を醸成する PACT スライドの開発と評価に関する事例的研究, 日本教育工学会2024年春季全国大会講演論文集, pp.319-320.
○榊原範久,大島崇行,関原真紀,桐生徹,水落芳明:オンライン教員研修におけるオンラインホワイトボードの活用が受講者の発話に与える影響の研究,日本教育工学会2024年春季全国大会講演論文集, pp.521-522.

日本教育工学会論文誌にゼミ生の論文掲載

昨年12月末に、ゼミ生の論文が日本教育工学会論文誌で発表されました。

今回の論文の採録・発表は私にとって、ひと際嬉しいことでした。

 

教職大学院には「修士論文」が課されていません。そのため、論文書くということ自体が院生の意思による選択となっています。
書きたい人は書けばいいし、書きたくない人は書きません。

榊原ゼミでも自由選択です。

やる気のある人に対しては、支援できればなぁと思っています。

 

筆頭筆者の彼とはもう4年の付き合いです。長いものです。

学部時代に榊原ゼミを選択してくれました。

そして教員採用試験に合格し、自治体の名簿掲載延長制度を利用して、大学院へ進んでいます。

M1の時に理論面で学びを深め、今回の研究を計画・実施し、論文を学会へ投稿しました。日本教育工学会ですので、査読修正は厳しくで大変でしたが、なんとか修正を完了させ、今回の掲載に至りました。

もちろん論文だけにこだわっていたわけではありません。それと並行して、年間150時間の学校実習で授業実践に取り組み、実践力も磨いてきました。


まさに「理論と実践の往還」を体現していて、教職大学院生のよきロールモデルとなっています。

 

ちなみに、論文を簡単に要約すると、ICTを活用して、学びの方法(学習方略)を共有化・可視化することの効果を検証しています。成果物を共有するだけでなく、学習方略を共有すると、効果の持続性が高いということを証明しています。ご興味のある方、ご一読いただけたら幸いです。

 

sakakibara-lab.jimdofree.com

多々納春樹・鎌倉正和・榊原範久(2023)クラウドによる方略の相互参照が小学校高学年児童の意見文作成に与える効果の検証.日本教育工学会論文誌,第47(3): 481-492

「生成AIの活用」に関する教員研修

 新潟県教育委員会から依頼を受け、県内の高等学校にて「生成AIの活用」に関する教員研修を行いました。
 
 参加された先生たちは、自分の端末でChatGPTにログインして、実際に使いながらの研修に参加してもらいました。
 
 初めて使う先生はChatGPTの回答に感動していました。体育科の先生が、「フルマラソンに初めて挑戦するための練習方法を、段階的に10個教えて。」と入力すると、ChatGPTからの妥当な練習方法の提案に大変驚いて「これは素晴らしいね!」と言っていました。
 
 生成AIは調べれば調べるほどに、活用すれば活用するほどに、その技術のレベルの高さに驚かされます。まさに「世紀の発明」というレベルを実感します。
 
  高等学校で一般的に活用が広がるまでそう時間はかからないでしょう。
 
 高校生であれば、生成AI、大規模言語モデルの仕組みの概要を理解させ、メリット・デメリットを押さえることは必要です。
 
 メリットは使ってみればわかります。デメリットとして、特に4つの懸念について理解してもらう必要があると思います。
・不確実性への懸念
・透明性の懸念
・信頼性の懸念
著作権侵害の懸念
これらを理解させた上で、積極的に導入を検討したいです。
 
 来月は全校生徒、そして保護者向けの講演を計画しています。遠くに保護者の理解は重要ですね。
 
 理解を得て広めていくためには、まだまだ乗り越えなければいけない壁は多いです。
 
 でも、この変革の時に、ワクワクします。

榊原ゼミに日本大学商学部の皆さんが参加

日本大学商学部の先生や学生22名が上越教育大学教職大学院を訪問してくれました。


施設見学や大学院説明を受けたのち、午後から90分程度、榊原ゼミに参加です。


日大の学生たちは、大変積極的で、コミュ力が高く、ゼミ生らとすぐに打ち解けていました。

ICTを活用した授業の導入場面の教材を共同制作するゼミを行いました。

ユーモアを交えた教材が多数作られていました。

 

代表の学生が、

「大学で教職は熱心に学べなかったので、上越教育大学の大学院で学びたいです」

といった謝辞(もちろんお世辞はあると思いますが)に、嬉しくなってしまいました。

 

今日のゼミは、全てゼミ生等の企画で運営されました。

日大生の取組の姿勢も素晴らしかったし、榊原ゼミの院生・学生も素晴らしかった。

 

日大の先生からは、今回の企画やゼミに参加する場について感謝されましたが、感謝すべきなのはこちらだったかもしれないです。

ゼミ生にとっても、大変学びある時間になりました。

 

榊原ゼミは普段からオープン開催しています。
飛び込みでの参加依頼、お待ちしてます(^^)

 

越境の価値

午前中、長野県山ノ内町で授業参観、午後から上越にて合同ゼミ。


信州大学の佐藤和紀研究室の皆さんと一緒に学び合いました。

個人研究を学会スタイルでプレゼンにまとめたり、原稿にまとめたりしてグループで議論を重ねました。東北大学の堀田龍也先生にもご参加いただき、今回のゼミを価値づけていただきました。


自分の身内では「やれている気」でいても、外に出る(越境する)と不足を知ります。

また、価値観の違いに直面し、自分のバイアスに気付きます。

そして、議論し合った末に切磋琢磨できる仲間を得ます。

 

4月から始まった信州大学佐藤研究室との合同ゼミ。

お互いに研究レベルが高まっているのを感じます。

上越教育大学では研究に熱心に取り組んでいる榊原研究室です。

でもまだまだってことを思い知らされます。

こうやって他大学からお誘いをいただけるようなゼミでありたい。

次は冬開催。それまでにゼミ生を鍛え上げます笑

授業参観@横須賀

横須賀市で中学校の先生をしている修了生の授業研究会&校内研修に参加しました。

 

3年目の教員ですが、全校を巻き込んで自ら授業公開をして、校内研修を企画しています。

この行動力が何より素晴らしいと思います。

 

私としても、学校を少しでも良くしていきたいと思う気持ちを持った先生を、できる方面から支えていきたいと思います。

 

当の授業者の授業実践力は、この3年間で大きく成長していました。1人1台のChromebookを用いて、クラウド上でまとめの成果物を相互参照できる環境を作り、協働的な学びを加速させていくあたり、さすがでした。

 

授業参観@茅ヶ崎

神奈川県の中学校へ授業参観へ行きました。今回の公開授業の授業者の先生とは大学院時代からの関わりになります。彼の授業をゼミ生に見せたくて、ゼミ生を引き連れて行ってきました。


 『学び合い』の実践ですが、そのセオリーを超えて、自分なりの形を実現していて見応えのある授業でした。とは言っても、授業者がガツガツと指示をだすわけではありません。生徒たちが主体的に学習課題に取り組み、学習方略を選択し、自らの目標を達成していく、そんな授業でした。


 生徒たちの授業中の表情から、社会科の時間が本当に好きなんだなということが伝わってきました。また、わからない部分があれば、お互いに協力して学び合っていました。自分が課題に取り組んでいても、相談されればひとまず手を休めて学び合う雰囲気があり、学級は心理的安全性に包まれていました。


 日々の授業実践を通じて、学級経営を実現させている、そんな印象を受けました。
 大学にいると理論が先行しがちですが、やはりその理論も、現場の授業実践に表現されてこそ価値があります。