のりさんの研究室

上越教育大学 榊原範久のブログです。

ICT活用の講義

アンドレアス・シュライヒャーOECD教育スキル局長の印象的な言葉

「ICTは事実上、我々の生活と仕事のあらゆる側面を抜本的に変えてきた。複雑なデジタル世界を目的を持って進むことができない生徒は、もはや周囲の経済的、社会的および文化的な生活に十分参加できないことになる。」

引用:経済協力開発機構(OECD)(2016):21世紀のICT学習環境-生徒・コンピュータ・学習を結びつける-,明石書店.

 

ICTを活用した授業について週に1回講義をしています。

今日は実物投影機を使って院生たちが模擬授業を行いました。

20名の受講生は全てストレートマスターですが、彼らの教材選択のセンスや教師役としての振る舞いは素晴らしいものがありました。

教材の提示の仕方も工夫され、僕の中では高評価。

 

課題が残ったのは問い。

教材を工夫して提示し、上手い語りで参加者を惹きつけ始めます。

しかし、肝心の問い(学習課題)の中に本時で目指す子どもの姿が見えませんでした。

これはICTとは別で鍛えていく力ですが。

 

教員養成の課程において、現場で生きる実践的なICT活用指導力を育成しなければならないと感じています。

教職大学院として、先進的なICT機器について学んだ経験、それを使って模擬授業をした経験。

現場に出てから新しい機器が導入された場面で生きる力となることを願います。

 

教育の機会均等は自明です。

機会均等は学習内容だけでなく、学習環境についてもできる限り近づけていきたいところです。

しかし、ICTのある学習環境という点においては、自治体によって整備状況は大きな格差を抱えています。

また、教員のICT活用指導力によって、教師だけでなく子どものICTの活用頻度に大きな差が見られているのも現状です。

 

教員がICTなどの先進的な教材教具を含めてストレスなく使えるようになることは、シュライヒャー氏の言葉にある現実から子供達が救うための一助になるのではないでしょうか。