のりさんの研究室

上越教育大学 榊原範久のブログです。

ゼミの学びは「獲得」ではなく「参加」

今日の午後は学部ゼミ・院生ゼミ2連発。


学部ゼミでは新規加入の2年生に対し、3年生がこの1年間の研究成果のプレゼンを披露していました。

 

3年生はお互いの研究をブラッシュアップするために、今まで何度も議論を重ねています。そうすると自分たちで自動化して使用される言葉があります。例えば、プロトコル、尺度、検定、などです。アサーションエスノグラフィーに至っては説明しても理解には程遠く…。


そのため今回は「2年生に分かりやすいように」という注文をつけてプレゼンをすることにしたので、そこに3年生なりの工夫や苦戦があったようです。

 

終了後の2年生は思考が飽和状態(^^;;。

先輩たちの言動を見ていろいろ学んだようです。ゼミ後に残って今日のまとめを書いていました。どうだった?と尋ねると「あっという間の90分だった」と言っていました。


正統的周辺参加」です。これもかなり一般的な言葉ではないですね。ゼミでの学びは知識や技能を教示されて獲得するのではなく、ゼミという共同体への参加を通して、経験して、状況の中で学びを深めていくべきものだと思います。

 

続いての院生ゼミでは、ストレートマスターたちの学会デビュー戦へ向けて、リハーサルを行いました。M2がいないので、参加というよりは、挑戦です。頑張っているとおもいます。

議論に集中していて、写真を撮り忘れました。

 

来週はクリパーゼミ🎄🎅楽しみ⭐︎

ICTの校内研修 byゼミ生

学校支援プロジェクトの連携協力校から、校内研修としてICT研修会の依頼を受けました。私ではなく、院生が(^^;。

 

私の専門分野もICTですが…

 

話を戻して。


研修内容としては、ICT教育が求められる社会的背景に始まり、タブレットを使った演習や、実際の実習で調査した研究結果や実際のビデオ映像をもとに構成しています。

 

演習の中には、一人一台のタブレット型端末と「edutab」という同期型CSCLを活用して行います。このシステムは情報通信機構(NICT)から委託研究として受けて、私も開発協力をしているICT機器です。(詳細は以下を参考)

edutab.jp
今日は、研修会のリハーサル(2回目)をゼミでやりました。

 

先日の1回目のリハの時は残念ながら発表の姿勢、内容面についても合格点には程遠かったです。そこで修正を注文したことが、今日のリハーサルでは見事にリカバーされていました。


榊原研究室は今年から始まり、現在M1のみで、全員ストレートマスターです。正直に言って、他の研究室に比べれば、歴史も、伝統も、文化も、実績さえもありません。


しかし、今回、学校側から校内研修としてICT研修の依頼を院生が受けてきたことは、現場からの大きな期待の表れであり、この3ヶ月の成果だと彼らを褒めまくりました。


それと同時にこのような機会を与えてくださった連携協力校の校長先生はじめ、先生方に感謝しなければなりません。

「期待は超えるためにある!」と彼らを鼓舞して研修会の計画をここまで進めてきました。
当日の彼らの発表がうまくいきますように(^^)

教育実習を参観

榊原ゼミに所属する5名の学部生が、3週間の小学校教育実習に行っています。

「研究授業やるので、見に来てください!」という連絡以外はしばらく音沙汰がありません。日々の実習に没頭しているのでしょう。


普段、大学生モードの彼らしか見ていませんから、実習先でどんな立ち振る舞いをしているのか、気になります。ちょっと心配なくらいです。今日はゼミ生の研究授業を参観に行ってきました。

 

職員玄関には立て看板。

上越教育大学 榊原先生 ご参観ありがとうございます。3年4組教室へお入りください」と。

ぎこちないチョークの文字。どこかで見たことのある文字。

 

実習生本人が書いたとのこと。指導教官が実習生に付き添って、「学校ってね、来てくれるお客さんにこういうの書くんだよ」と指導され、実際に本人に書かせたそうです。
管理職がやってしまえば済む話ですが、こんな小さなことでも本人に書く機会を与えた学校に感謝します。

授業のやり方、子供の接し方、それだけでなく学校と社会とのつながりまで意識して実習させてもらっているようです。いい学校で実習させてもらっています。

 

授業はというと、それは素晴らしかったです。子どもたちの前に立ち、それぞれの学習態度に気を配りながら、子どもとのやりとりでは常に明るい表情で振舞っていました。
実習を終えたら、ひと回り大きく成長しているんだろうなあ。

【Society5.0に向けた教育フォーラム・edutabフォーラム】

2日間のイベントが終わりました。

5日(木)は上越教育大学附属小学校と山梨大学教育学部附属小学校を結び、AIを導入して遠隔協調学習を行いました。上越だけでも5社の報道が入り、注目の高さをうかがわせました。

そして授業関係者・参観者・大学関係者で懇親会をしました。

6日(金)はフォーラムを開催し、それぞれ先進的な取り組みをしている3つの実践研究発表と、18のポスター発表が行われました。

 


今回、企画から実施まで5ヶ月かけています。その間にたくさんの方が動き、たくさんの人と人を繋いできました。その結果、今回の多様な人たちが集まるフォーラムを実施することができました。成果としては、大学と附属が連携して実践できたこと、新しいAIとCSCLシステムの実験授業をして課題が見つかったこと、普通では関わり合うことのない人たちが結びつくことができたこと。

大変ではあったけれど、心地よい疲れで、また次へ頑張ろうとたくさんの刺激を得た二日間でした。

上越教育大学教職大学院「学び続ける教師のための研修講座」in新潟

今年度も上越教育大学の研修講座が県内各地で開催されます。

昨年度までは新潟県教育センターですべての講座を開講しておりましたが、多くの先生方に講座を体験していただこうと、県内各地で開催することとなりました。

 

現場の先生たちにとって学びある講座となるよう内容を工夫して計画しています。多くの先生方のご参加をお待ちしております。

 

私は7月6日(土)長岡技術科学大学の講座で「ICTを活用した共同的な授業づくり-愛は授業をどう変えるか-」を担当します。一人一台のタブレット端末を用意して、皆さんに体験していただきながら講座を展開します。ICTが苦手な先生にも、得意な先生にも学びある内容をお届けします。お勧めです。

 

講座の詳細と申し込み方法は以下のページのパンフレットに掲載です。

http://www.juen.ac.jp/kg/id-4/2019-2.html

ICT活用の講義

アンドレアス・シュライヒャーOECD教育スキル局長の印象的な言葉

「ICTは事実上、我々の生活と仕事のあらゆる側面を抜本的に変えてきた。複雑なデジタル世界を目的を持って進むことができない生徒は、もはや周囲の経済的、社会的および文化的な生活に十分参加できないことになる。」

引用:経済協力開発機構(OECD)(2016):21世紀のICT学習環境-生徒・コンピュータ・学習を結びつける-,明石書店.

 

ICTを活用した授業について週に1回講義をしています。

今日は実物投影機を使って院生たちが模擬授業を行いました。

20名の受講生は全てストレートマスターですが、彼らの教材選択のセンスや教師役としての振る舞いは素晴らしいものがありました。

教材の提示の仕方も工夫され、僕の中では高評価。

 

課題が残ったのは問い。

教材を工夫して提示し、上手い語りで参加者を惹きつけ始めます。

しかし、肝心の問い(学習課題)の中に本時で目指す子どもの姿が見えませんでした。

これはICTとは別で鍛えていく力ですが。

 

教員養成の課程において、現場で生きる実践的なICT活用指導力を育成しなければならないと感じています。

教職大学院として、先進的なICT機器について学んだ経験、それを使って模擬授業をした経験。

現場に出てから新しい機器が導入された場面で生きる力となることを願います。

 

教育の機会均等は自明です。

機会均等は学習内容だけでなく、学習環境についてもできる限り近づけていきたいところです。

しかし、ICTのある学習環境という点においては、自治体によって整備状況は大きな格差を抱えています。

また、教員のICT活用指導力によって、教師だけでなく子どものICTの活用頻度に大きな差が見られているのも現状です。

 

教員がICTなどの先進的な教材教具を含めてストレスなく使えるようになることは、シュライヒャー氏の言葉にある現実から子供達が救うための一助になるのではないでしょうか。

ここから始まる

榊原研究室がスタート。
学部3年生とM1院生を合わせた榊原研究室の第1期生が集まりました。
研究室の仲間と過ごす中で、精一杯学び、遊んで、ここを離れてからも幸せな教員で居続けられる資質を身につけて欲しいと思います。
自分の教員人生を振り返ると、失敗と成功を繰り返してきました。もっと楽になれる考え方、方法があり、こうすると失敗するという実証済みの経験則があります。彼らに時間をかけてこれらを体系化して伝えていくことができたらなあと考えます。
素晴らしい教授陣が揃う本コースの中で、この研究室を選んでくれたことに責任感を感じます。緊張感すら感じます。感謝の気持ちもあります。素敵なメンバーが集まってくれました。

研究室を構えることはこの仕事を始めた時の目標の1つでした。幸せな先生をたくさん育てていこう。ここから、始まり。