のりさんの研究室

上越教育大学 榊原範久のブログです。

2019学校支援プロジェクト説明会

学校支援プロジェクト説明会が行われました(2019.4.12)。

各研究室がブースを設け、昨年度の学校支援プロジェクトの成果を新入生(M1)に伝える会です。実質、研究室選びをしているM1に対する研究室紹介を兼ねています。

私の研究室は院生がまだいません。

本年度から院生を受け入れることができるようになります。

現在は学部3年生が5名所属しています。

 

他の研究室はアドバイザーの実績も院生の実績も豊富です。一方で榊原研究室は実績を持ちません。このような状況で新入生に興味をもってもらうことはとても難しい状況です。

そんな中で、説明会でのアピールを率先して行ってくれたのは学部生でした。部屋にいるほとんどが大学院生という状況で、彼らは研究室のアピールをしてくれました。話を聞いていると、主に私についての説明をしていたようです。ありがたいです。

途中でバイトがあると言って帰る学部生もいました。

最後まで説明会に付き合ってくれた学部生もいました。

もともと院生の会ですから、それぞれ予定が入っているのは当然でしょう。

それでも、全員で揃って、できる限りでこのような活動に取り組もうとする学部生たちの心意気に感謝です。

 

今年度は研究室の立ち上げです。

どのような院生を迎えることになるでしょうか。

「榊原研は厳しいらしいよ」と噂されているらしく、それはそれでいい傾向でしょうか。

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2019学校支援プロジェクト説明会

 

 

入学式

平成31年上越教育大学大学院の入学式が挙行されました。本年度は245名の院生が入学しました。

入学式の場で一人一人の呼名があり、院生は返事をして立ち上がります。

最後部の席に座って聞いていましたが、その返事から一人一人の個性や意気込みを感じました。顔は見えませんが、いろいろ想像し、私も彼らのために頑張りたい気持ちになりました。

午後はコースごとに分かれてオリエンテーションを行いました。私は司会を務めました。

コース長の西川先生は「君たちは最高の選択をした。教科教育・学級経営実践コースは日本最強の教員養成・教師育成の教員人が揃っています。」と熱く語られました。

その話に恥じぬよう、努めていきたいです。

来週からは院生との面談が始まります。

・研究を熱心に取り組みたい。

・学会発表や論文執筆に興味がある。

・自分を追い込みたい。追い込まれたい。

・楽しく遊び、飲み、そして学びたい。

こんな院生との出会いを期待します。

 

 

教師のふるまい

昨晩、建築家の中村拓志氏が出演していた番組であるテーマが話されていました。それは

 

「ふるまいのデザイン」

 

興味深く聴き入ってしまいました。中村氏は「ふるまいとは行動。行動を促し、人を平穏へと導くことができる。ふるまいは行動の豊かさに繋がる。」と話していた。また「人のふるまいはコミニケーションの連鎖を生む」と。

この話は建築に関する話ですが、教育に置き換えられないかとテレビを見ながら考えました。

教師のふるまい、はどうだろう。

教師の「ふるまい」によって伝えられる教育活動は多い。ふるまいによって伝えられるもの…感情、温かさ、厳しさ、美しさ、鋭さ…言葉で伝わる以上の効果が時は発せられる。教師のふるまいはヒドゥンカリキュラムとして子どもたちに伝わります。

教師のふるまい、教師の所作、教師の一挙手一投足、これに教育効果が大きくあることを考え、意味を持って振る舞うようになると、一段階レベルが上がりますね。

 

科研費

科研費(若手研究)に採択されました。
初等中等教育における批判的思考を育成する思考ツールと学習環境モデルの開発」

大学教員にとって、競争的資金の獲得は仕事の1つのようになってきています。
大学から支給される研究費は年々減少している状況で、自分の思い描く研究をしたければ、その研究費を取ってきてください、ということです。この状況は苦しい感じがします。研究することが仕事なのに、研究する資金は自ら獲得しなければいけない。

今日、FBや共同研究のメーリスなどで、次々と科研費の結果報告があがっていました。採択もあれば、不採択というものもありました。採択率は3割弱でしょうか。
4月1日に発表されており、僕の元には何の音沙汰もなかったので「今年もだめだったかあ」と思っていました。そんな矢先、事務からメールが届きました。採択の知らせでした。

これで、3年間、思う存分研究できそうです。論文書けます。学会発表できます。研究会参加できます。給料は増えないですが、夢と仕事が増えました。
今年度から院生も加入するので、このタイミングはありがたいです。また、研究の場でお世話になった先生方に少しずつ恩返しをしていきたいです。
令和元年は、研究の年に。

新年度を迎えて

新年度を迎えました。

朝、家を出ると霰が降っているではないですか。四月とは思えない肌寒さ。

 

このような天気で新年度を迎えるのはいささか残念な気持ちはありますが、春ですから、新しいことが始まります。大学では本コースに新しい先生方をお迎えし、新年度の会議が始まりました。

本年度は大学教員2年目となります。

本年度は大学教員としてやるべき仕事について、「結果」を残していきたいです。論文、学会発表、著書の三本柱を中心に。また、榊原ゼミの学部生・院生の研究指導も力を入れて取り組み、彼らの結果にもつなげていきたいです。

上越教育大学に入学される院生・学部生の皆さんとの出会いを心待ちにしています。

「教育reformセッション"Engine"」で学んだこと・考えたこと

 3月3日(土)に名古屋で開催された「教育reformセッション"Engine"」に参加した。

https://engine.asknet.org

 主催者のNPOアスクネットさんは学校と地域をつなぐ専門家として活躍されるキャリア教育コーディネーターの資格を持つ方々が運営されています。

 地域で活躍する市民の方を学校にお連れし授業をおこなっていただいたり、年間を通じたキャリア教育の効果的なプログラムを計画したり、インターンシップのプログラムを設計するなど、学校と社会とをつなぐ教育のサポートをおこなっている組織です。(HPよりhttps://asknet.org

 

 私はキャリア教育の専門家ではありません。指導要領に書いてある程度のレベルのキャリア教育に関する知識しかありません。

  キャリア教育を語る上で、「進路指導」や「職業指導」のカテゴリーと同義かと誤解されている人がいることに気づきます。キャリア教育はもっと多様で、「生き方教育」の中の「キャリア教育」で、「進路指導」がその中にあり、さらにその中に「職業指導」というカテゴリーがあるイメージを自分的にはもっています。

 

  そんな私ですが、今回のお誘いをいただいたのは、「中学校で実践されていた『学び合い』の授業の実践を話してほしい」という理由からでした。アスクネット さんのこの感覚がいいなと思いました。「キャリア教育とは、どのようなご関係が…」と内心思いましたが、いろいろな角度から子どもたちの教育の未来を話し合いたいという趣旨を説明していただいたので、お引き受けした経緯があります。

 

 担当した講座に参加された方は、高校の先生、中学校の先生、小学校の先生、大学生、高校生、その他業種の人etc、多様でした。講座は盛り上がったというか、悩ませたというか、もやもやさせたというか。そんな感覚を壇上で受けました。参加されていた方は、『学び合い』の授業を支える理論の話をすると「へえ」と興味深く聞いてくれるのですが、実際の授業の話をすると「そんなのでうまくいくの」という表情をされます。ぜひ、『学び合い』の授業も、参観されることをお勧めしたいです。

 

 さて。そうは言っても、『学び合い』が全てではなく、いろいろな授業があっていいと思います。むしろそれの方が多様で、自然でいいと思います。大切なことは「子どもの未来を想像して教育を創っていく」ことではないでしょうか。

 

 私たちが成功してきたアプローチは、子どもたちの未来の成功へのアプローチには繋がらないことは多分にあるでしょう。

 

 変化の激しいこの時代に未来の在り方を予測することは容易ではありませんが、それでも子ども達が未来で幸せに生きることができる資質・能力をイメージして授業デザインすることは重要です。

 例えば、コミュニケーション能力や協働力が必要性が今後高まると想像します。それならば、コミュニケーション能力を高める授業方略は?協働力を高める課題のあり方は?と考えて、具体的な手立てや授業デザインを理論ベースで学び、実践の場で実現していくことが重要ではないでしょうか。

 教育に携わる私たちは「子どもの未来を想像して教育を創っていく」ことが今後ますます重要になるのだと。

 

● もし我々が、今日の子どもたちを、昨日までの子どもたちと同じように教えているなら、それは彼らの未来を奪うことになるだろう。 ージョン・デューイ(John Dewey)

 私が心に留めている言葉です。

生徒指導に関する講義

学部生を対象にした「生徒指導・教育相談・進路指導」の講義を行なった。

分かりやすく、生徒指導と教育相談と進路指導を均等割りで構成されている。

将来、教職を目指す学生が所属する「教職デザインコース」の2年生が対象である。

講義の始まる段階で、生徒指導・教育相談・進路指導の講義をやるということの意味を考えた。

彼らは教採に合格することができれば、あと2年とちょっとで教壇に立つ。小学校の教員の場合は担任を持つケースがほとんどであろう。そんな彼らにとって必要な生徒指導関連の講義はどのような内容で構成されるべきだろう、と。

この科目は教職大学院の教員がオムニバスで担当している。教職大学院のスタッフは現場経験を持つ実務家教員が多数を占める。先生たちの授業を見ていると、まさに現場での問題点であったり、自分自身の現場でのリアルなつまずきを克服する内容だったりする。

「生徒指導提要」にある「生徒指導の定義とは・・・」という知識理解に関する内容を中心とするのではなく、小学校の生徒指導事例をケーススタディとしてグループ検討会を行なったり、キャリア教育を取り入れた教科指導の授業実践であったり、現場に即した内容で構成した。生徒指導には原理原則があり、その上で臨機応変に、協働的にチームで対応することが求められる。その指導の実際を伝えていく講義を半年間行なった。

これから教員になっていく学生たちが正しい知識と技能を身につけ、幸せな教師人生を歩めるように少しでも力になれたらと思う。