NITS(独立行政法人教職員支援機構)から支援を受け、妙高市教育委員会と連携してICT教員研修を実施している。
私のICT活用研究の一環でもあり「教育委員会・学校・大学の三位一体の協働の実現」を同時に目指している。
対象は、市内の小中総合支援学校の教員約230名。全員参加!
各学校の教員は、在籍校からオンライン接続。
講師役の私も、研究室からオンライン接続。
指導主事も、市役所からオンライン接続。
これだけ聞くと大規模オンライン研修と思われる。
こんな大規模に一成接続したら個々のモチベーションは低くなる。
研修効果もあまり期待できない。
しかし、本研修では、大規模研修の課題を解決するため、特別な仕組みを盛り込んで実施している。
研修の仕組みは
①講師(大学教員)が、各校の代表者(今回は情報主任や研究主任)に対してオンライン研修会を実施。少人数のため講師との直接質疑応答も可能。研修会の様子はzoom録画。
②各校の代表者は教育委員会の指示で、各校で伝達校内研修を行う。講師が作成したプレゼンデータ(著作権に配慮し、一部削除)を共有し、それを用いて各校で代表者研修が自分の言葉で再現する。伝達校内研修前にもう一度振り返りたい代表者のために、①のzoom録画データを共有。
③校内研修を受けた教員が、学んだ内容を生かして研究授業を行う。その時の写真や動画をもとに、大学教員が専門的に授業分析し、それを研修の題材にしてプレゼンを作成する。次年度に①の研修会を実施する。
今年はこの研修の2サイクル目にあたる。
今回のプレゼンの資料は、妙高市内でICT活用に積極的に取り組んでいる教員の授業写真や動画をもとに研修スライドを作っている。
この教員研修の仕組みのねらいは3つある。
・各学校に、ICT活用のリーダー・校内研修リーダーを育成
・身近で頑張っている教員の写真や動画を使って解説することで親近感やICT活用の切実感を実感
・研修効果を低減させずに、教員の出張を無くし、働き方改革
この研修の仕組みの実現には、教育委員会の存在が大きいです。
大学教員が代表者研修を実施して「この後、校内研修で伝達講習をお願いします」と頼んだところで、実際の実施は難しい。
しかし、ここに教育委員会が入って、「伝達講習をお願いします。実施したら教育委員会に報告してくださいね」となると実施率は大幅に上昇する。
教育委員会と学校のつながりは強い。大学教員はその力がない。
大学教員には専門性がある。教育委員会の指導主事にその専門性を求めることは難しい分野もある。
学校の教員には実践力がある。そして子どものことを一番知っている。
それぞれの長所を引き出し、「教育委員会・学校・大学の三位一体の協働」によってより効率的な校内研修を実現することを目指している。
せっかくのGIGAスクールの端末や環境を生かさない手はない。
今後もこの研修方法を他の自治体で拡大していきたいと考えている。
本研究の論拠は以下の論文です。今月発表予定です。
・小林龍柱,榊原範久,「オンラインシステムを部分活用した三位一体の拡散型教員研修プログラムの開発と評価~ICT活用をテーマとした教員研修の事例~」,日本教育工学会論文誌,第45巻3号, 日本教育工学会., 2021(印刷中).