のりさんの研究室

上越教育大学 榊原範久のブログです。

校内研修に参加

神奈川県の中学校にて、校内研修に呼んでいただきました。今回の目的は2つ。

 

上越教育大学教職大学院修了生の先生の授業を参観すること。

 

もう一つは講演で「未来に必要な資質・能力ー批判的思考の育成-」をテーマに話しました。博士課程の研究でやってきたことを基に、学校現場で役立つ内容を抽出して、ワークショップを織り混ぜておこないました。
講演については、90分がんばったということで(^^;;、おいときます。

 

この日、感動したのは先生の授業でした。中学2年社会科地理分野の授業でした。


授業開始3分前、休み時間が終わりに近づいた生徒たちは、誰が声を上げるわけでもなく、なんとなく準備に動き始めました。机の上にワークシートを出したり、教科書を開いたり。


そしてチャイムの音が響きました。


授業がすっと始まりました。


号令はありません。


先生は教室の前の入り口あたりに立ってニコニコしています。時折り、生徒たちと目を合わせて何かコミュニケーションを交わしています。

 

学年末テストへ向けてワークシートへ取り組む学習でしたが、それぞれの生徒が、「それぞれのレベルの主体性」を発揮して学びを進めていました。

早く課題をやり終えた生徒は自然に次の課題を見つけて深めたり、友達を助けたりしています。


そして、先生は1時間の中で、全生徒と1回以上なんらかのコミュニケーションをとっていました。

課題について相談にのったり、交流相手を紹介したり、その学び方いいねとジェスチャーをしたり。

 

生徒たちからは「背伸びして勉強している感」を全く感じませんでした。こんな自然にしっとりとした『学び合い』を見たのは初めてです。

 

ある生徒から学習記録のファイルを見せてもらいました。そこには先生の教材研究にかけた時間の痕跡が見られました。

 

教科書だけでは作れないレベルの社会事象の捉え、資料の読み取り、課題の切り口。見せかけのテクニックなどではなく、日々の熱心な教材研究から紡ぎ出された『学び合い』なんだと、私の中で納得しました。

 

あの生徒たちのレベルにもっていくには、相当な時間と労力と失敗の積み重ねの歴史があると思いました。


自分の『学び合い』の授業観をより広くしてくれた素敵な時間でした。